
小学5年生の秋、千葉県のとある小学校で図書委員をしていた僕・成田翔一は、
毎週木曜日の委員会活動の時間で、偶然、手に取った本に手紙が挟まれていることに気が付いた。
そこには宛名も、差出人の名もなく 「わたしと秘密の文通をしましょう」 とだけ書かれていた。
一度は無視しようかとも思ったが、好奇心もあって
白い紙に 「いいよ」 とだけ書いて同じ本に挟み、もとの場所へ戻した。
そして、次の木曜日。
驚いたことにその本を開くと返事がきていたのだ。
この日から、僕と謎の人物との秘密の文通は始まった。
それから半年後、ずっと手紙の相手が気になって仕方なかった僕は、
思い切って、手紙で尋ねてみた。
「君は誰なの?」
一週間後、僕のもとに一通の封筒が届いた。
「遠い場所に隠したわたしの【宝箱】を見つけたら教えてあげる」
というメッセージが書かれた、暗号だらけの紙が入っていた。
「遠い場所……」
まだ、一人で列車に乗ったことがなかった僕は、勇気を出して彼女の宝箱を探しにいくことに決めた。
さあ、放課後の冒険のはじまりだ!
