
それは、ごく普通のありふれた日、何の前触れもなく突然起こった。
突如、特急列車の車内の画面に、謎の文字列が映し出された。
動いている車両から車庫で休んでいる車両、挙句の果てには駅の案内表示にまで及んだ。
どうやら西武鉄道上の全てのシステムに、何らかの暗号ファイルが鍵をかけてしまったようだ。
だれが何のために、どこから発信したのか、どんな意味があるのか、全てが不明だった。
この文字列は「WEST」から始まり、記号の羅列がまるで暗号のように見えることから、
「WEST CODE」と呼ばれるようになる。
WEST CODEは日本で話題となり、人々はこぞってその意味を探ったが、解析は困難を極めた。
半年が過ぎたある日、ついに専門の解読機関から「解析成功」の発表が出る。
導き出された解除コードをシステムに入力すると、男の声で更なる暗号の存在が示唆された。
「更ナル暗号ヲ解キ 8ツノ駅ヲ調ベヨ 暗号ヲ解イタ先ニ 忘レテハナラヌ宝ガ眠ル」
その後、画面上には新たな8つの謎と、意味不明な解答欄が現れた。
西武鉄道は、この謎を冊子に印刷して配布し、全世界に暗号解読者を募った。
その言葉の示す宝とは何なのか。暗号を解いた先には一体、何が待ち受けているのか。
まだ誰も、たどり着けていない―――